寄稿/国土交通省 近畿地方整備局 福井河川国道事務所 所長 宮本 久仁彦

寄稿/国土交通省  近畿地方整備局 福井河川国道事務所  所長 宮本  久仁彦

未来につながる「みち」「まち」「ひと」
―― 中部縦貫自動車道路(大野油坂道路)の整備状況と期待される効果

 

国土交通省 近畿地方整備局
福井河川国道事務所 所長 宮本 久仁彦


 

中部縦貫自動車道は、長野県松本市を起点とし、岐阜県高山市・福井県大野市を経て福井県福井市に至る約160kmの高規格幹線道路(自動車専用道路)であり、中央自動車道、東海北陸自動車道、北陸自動車道を連絡して広域交通の円滑化を図ることを目的としています。

大野油坂道路は、中部縦貫自動車道の一部を構成する、大野市東市布から大野市中津川に至る約35.0kmの自動車専用道路です。

1.現在の整備状況について

大野油坂道路は、大きく3区間で事業を進めています。大野IC~和泉IC区間(14.0Km)を平成20年度、和泉IC~油坂出入口区間(15.5Km)を平成24年度、大野IC~大野東IC区間(5.5km)を平成27年度に順次事業化されました。

これで福井県内の中部縦貫自動車道路は全ての区間が事業化され、これまで全区間に於いて測量、設計、用地取得を進めて参りました。

大野油坂道路は、山岳部を通る道路で構造物の占める割合が多く、橋梁35橋、トンネル10本で構成されています。また、本線を施工するにもアクセスするパイロット道路などが必要で事前の工事などを行い工事の推進を行っています。

令和2年4月17日には、大野IC~和泉ICまでの間を令和4年度に開通の見通しを公表致しました。その目標に向かって現在事業を進めております。

 

和泉ICの施工状況
勝原ICの施工状況

2.期待される効果

中部縦貫自動車道路の整備により、中央自動車道、東海北陸自動車道、北陸自動車道を連絡し、高速道路ネットワークとしての機能の確保が期待
されます。
これにより、

(1)北陸と首都圏、中京圏、甲信地方、美濃・飛騨地方へのアクセスが向上し、観光・物流等の面において活性化が期待できます。

(2)事業区間と並行する国道158号は、過去15年間で大雨・積雪・土砂災害等による通行止めが異常気象時通行規制区間を中心に48回発生しています。また、同区間には線形不良箇所が18箇所存在します。大野油坂道路の整備により、事業区間内における異常気象時の安定した交通確保が期待されます。

(3)大野市周辺を訪れる県外からの観光客で最も多いのは中京地方からの観光客であり、大野油坂道路の整備により、新たな高速道路ネットワークが形成され、今後さらに中京地方をはじめ県外からの観光振興・観光客の増加が期待できます。

(4)大野市(大野市役所 和泉支所)から福井県嶺北唯一の第三次救急医療機関(福井県立病院)に向かう場合、搬送時間は1時間以上かかりますが、大野油坂道路の整備されることにより、搬送時間が23分短縮され、線形が改善され走行快適性が向上することで患者の負担が軽減します。

下山ICの施工状況

3.おわりに

福井県では、平成26年度に舞鶴若狭自動車道が兵庫県三木市から福井県敦賀市まで全線供用され、2023年(令和4年)春には北陸新幹線が敦賀市まで整備されます。

また、中部縦貫自動車道路にあわせて「福井県民の将来ビジョン<平成23年度~平成32年度>(平成22年12月)」、「福井県長期ビジョン~いっしょに創ろう ふくいの未来2040~(令和22年6月)」、「第五次大野市総合計画後期基本計画<平成28年度~平成32年度>(平成28年3月)」において地域づくりが進められており、早期完成が期待されています。福井河川国道事務所としても、1日でも早い全線開通に向けて事業を進めて参ります。

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