寄稿/東北地方整備局 湯沢河川国道事務所

寄稿/東北地方整備局  湯沢河川国道事務所

安全で安心できる地域を目指して
―― 雄物川河川激甚災害対策特別緊急事業について

国土交通省 東北地方整備局 湯沢河川国道事務所
所長 目黒 嗣樹

 

湯沢河川国道事務所について

湯沢河川国道事務所は、1943年(昭和18年)に内務省雄物川上流工事事務所として発足し、現在では、安全・安心かつ豊で魅力ある秋田県南地域の創出を目指して、雄物川の上流部の河川事業、八幡平山系の砂防事業、国道13号・東北中央自動車道の道路事業を実施しています。

雄物川について

雄物川は、幹川流路延長133kmの一級河川です。

名称の由来は諸説ありますが、「仙北三郡の貢物(御物成・おものなり)をば、船に積み下ろす川なれば御物川と申す」がそのひとつとされています。

江戸時代には、雄物川には河港 27 箇所、船着き場85箇所あり、雄物川舟運が流域の経済発展をもたらし、古くから人々の暮らしを支えていたとされています。

流域は、秋田県の南部に位置し、湯沢市・横手市・大仙市・秋田市・仙北市・美郷町・羽後町・東成瀬村の5市2町1村にまたがり、流域面積は4,710km2で秋田県全体の40%を占め、水田面積は県全体の約半分を占める有数の穀倉地帯です。

また、「大曲の花火」で有名な大仙市の全国花火競技大会をはじめ、多くの人々に河川空間が活用されるなど、人々との歴史・文化との関わりが深い河川です。

なお、雄物川の国での整備・管理は、河口から約32kより上流側を湯沢河川国道事務所、下流側を秋田河川国道事務所と分担・連携して実施しています。

雄物川河川激甚災害対策特別緊急事業について

雄物川では、平成29年7月※ 、8月の記録的な豪雨により、甚大な浸水被害を受けた雄物川中流部・下流部の約35km において「河川激甚災害対策特別緊急事業(以下「激特事業」という)」として、令和4年度の完了を目標として重点的に堤防整備等を行い、平成29年7月洪水による雄物川の氾濫による家屋浸水被害の解消を目指しています。

激特事業のうち、当事務所の管内においては、約22kmの堤防の築堤や嵩上げと輪中堤1箇所を整備する計画であり、対象地区は「福部羅地区」「強首地区」「寺館大巻地区」「岩瀬湯野沢地区」「中村芦沢地区」「間倉地区」「正手沢地区」の7地区となっています。

このうち、「間倉地区」は、令和元年11月に堤防整備が完了しています。他の6地区については、堤防や構造物の設計と用地調査について完了しており、用地補償、堤防構造物工事の進捗を図っているところです。

当事務所管内の進捗率は、令和3年7月1日現在、事業費ベースで91%となっているなど、地元の住民や自治体はもとより、建設業界等から多大なるご理解とご協力をいただき、着実に進捗しているところです。


ハード・ソフト一体となった治水対策について

国の激特事業や県の災害復旧関連事業によるハード対策の着実な実施に併せて、平成29年7月・8月洪水の教訓を踏まえ、水害リスクを共有するための防災教育の推進、タイムラインを活用した関係機関との連携強化、緊急速報メールによる情報発信、危機管理型水位計を活用した水位把握の推進等「地域住民の方々の的確な避難行動を促すソフト対策」に関する取り組みなど、各種減災対策を進めております。

今後、国、県、市町村をはじめ、流域のあらゆる関係者との連携・協力を進め、これらの取り組みを継続・発展させつつ、「流域治水」の取り組みを本格化していきます。

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