寄稿/国土交通省 東北地方整備局 営繕部

寄稿/国土交通省  東北地方整備局  営繕部

福島と鶴岡で地域特性や景観に配慮した地方合同庁舎を整備

―― 災害に強く、地域に寄り添った安心・安全な施設整備

国土交通省 東北地方整備局 営繕部

 

福島第2地方合同庁舎 (完成パース)

 

東北地方整備局営繕部は、福島第2地方合同庁舎と鶴岡第2地方合同庁舎の新築整備を進めています。

福島第2地方合同庁舎は、福島地方気象台、福島財務事務所、福島労働局、自衛隊福島地方協力本部、東北公安調査局、福島駐在官室の5官署が入居予定ですが、現在の各庁舎は、経年劣化による老朽が著しく、また多数の庁舎が現行の耐震基準における耐震性能を満たしていないことから、喫緊に対策を講じる必要がありました。

工事進捗状況

事業計画の決定に当たっては、各官署が単独建替えや、賃貸による移転などの代替案も比較検討しました。その結果、事業計画が経済的であると評価されたことから本施設は新築整備にて進めることになりました。

これにより、分散していた老朽・狭あい・施設の不備等の問題を有する各庁舎を集約することで、国民への良質な行政サービスの提供、災害応急対策活動の拠点としての耐震安全性の確保を図ることが出来ます。

設計に当たっては、配置・外観計画として、敷地内のしだれ桜が国の天然記念物である「三春の滝桜」の孫にあたり、早咲きの桜として50年以上前から福島市民に親しまれ、観光スポットとしても期待されていることから、敷地固有の景観資源と位置づけ、施設の外観設計に有効的に活用する方針です。

また、建物をセットバックさせることで、市のシンボルでもある「信夫山」への眺望を確保しました。

このように、まちの景観を構成する要素を継承しつつ、人の交流の場を創出する、地域に根ざした施設整備を目指しています。

機能面においては、敷地内では歩車分離を徹底し、見通しの良い進入退出路を確保のうえ、わかりやすいサイン計画など、ユニバーサルデザインに基づいた「誰もが安心して利用できる」施設整備を目指しています。

平面・空間構成としては、執務空間を整形でゆとりある空間とすることで、使いやすく、将来の利用形態やシステムの変更に対して、柔軟に対応できるフレキシブルな空間計画としています。

エントランスホール

また、計画段階から地域連携を図り、災害時には周辺住民の一時避難所として活用できるスペースの確保と設備の整備を進めています。

この庁舎整備は、分散する庁舎の集約を行うことで、国有財産の有効活用が図られます。また、災害対策活動に必要となる自家発電設備や、上水等の水槽の整備を行うことで、防災拠点として一層円滑な機能の発揮が期待されます。

さらには太陽光発電、高効率照明等の採用により、一層の脱炭素・省エネルギー化が図られます。

本施設の構造・規模は鉄筋コンクリ-ト造で、地上6階建 塔屋1階、延べ面積:6,548㎡となります。

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