寄稿/千葉港湾事務所 副所長 中村 健

寄稿/千葉港湾事務所 副所長 中村 健

関東圏の工業発展に寄与する千葉港

―― 千葉中央地区複合一貫輸送ターミナルの整備を推進

 

国土交通省 関東地方整備局
千葉港湾事務所 副所長 中村 健

 

千葉港

 

私たち関東地方整備局千葉港湾事務所は、千葉県内の港湾整備事業及び港湾海岸整備事業を担当しています。現在、直轄事業は、「千葉港」において実施しています。

千葉港は、東京湾の北東部に位置し、市川市から袖ケ浦市までの延長約133kmの海岸線と、面積約2万4,800haに及ぶ港湾区域を有する国際拠点港湾です。同港の背後地では石油化学工業・鉄鋼業等企業が立地し、基幹産業の原材料の供給拠点となっています。また、火力発電所やガス工場等が立地し、首都圏で消費されるエネルギーの供給拠点としての役割も担っています。取扱貨物は臨海部立地企業の原材料、製品、完成自動車などが主体となっています。

令和2年の千葉港全域に係る利用状況は、入港船舶が約4.6万隻、海上出入貨物量が1.3億トンであり、このうち外航船は約0.4万隻、外国貿易貨物量は0.8億トンとなっています。

外国貿易貨物の主なものは、原油、LNG(液化天然ガス)、石油製品(ガソリン、軽油、液化石油ガス他)、鉄鉱石等であり、輸入貨物が外貿貨物量の約90%を占めています。また、国内移出入貨物の主なものは化学工業品等であり、移出が約55%となっています。

海上出入貨物量のうち公共埠頭での取扱量は0.1億トン(完成自動車、鋼材、砂利・砂、金属くず等)。専用埠頭における取扱貨物量が1.2億トンで全体の92%を占めており、工業港としての色彩の強い港湾といえます。

千葉港の港湾計画(H30.11 改訂)

また、人工海浜や親水公園・緑地等が整備され、海洋性レクリエーションの場として港湾就業者や地域住民をはじめ広く一般の方に利用されています。

現在着手している整備事業のうち、千葉中央地区の複合一貫輸送ターミナル整備事業について紹介します。

千葉港千葉中央地区は、我が国の自動車産業、製造業(化学工業等)及び製紙業の海上輸送網の拠点となっており、内航RORO船により輸送される貨物需要の増加を受けて、輸送船の大型化への対応が必要となっています。

このため、貨物需要の増大に伴う内航RORO船の大型化に対応するとともに、大規模地震に対する耐震性能を有する複合一貫輸送ターミナルを千葉中央地区(出洲ふ頭D岸壁)に整備しています。

令和2年度より事業化され、令和4年度は、岸壁の本体工等を実施する予定です。

本事業における期待できる事業効果としては、
・大型船による輸送効率化が図られ、地域産業の競争力強化に貢献
・ 積載できるトレーラーシャーシが増えることによるドライバー不足等への対応
・ 大規模災害時の経済活動の維持、安全・安心の確保
・ 海上輸送へのシフトの進展により、カーボンニュートラルへ貢献
などがあげられます。

早期供用に向けて、鋭意整備を進めてまいります。

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