寄稿/関東地方整備局 高崎河川国道事務所長 青木 崇光

寄稿/関東地方整備局 高崎河川国道事務所長 青木 崇光

地域の安全・安心と活力のある未来に向けて

国土交通省 関東地方整備局
高崎河川国道事務所長 青木 崇光

1.はじめに

群馬県は、日本列島のほぼ中央に位置し、「鶴舞う姿」に例えられます。県土は、北西部の丘陵山岳地帯から南東部の関東平野まで広がり、気候も北部や西部は日本海型、南部は太平洋型に属しており、冬季は山沿いを中心に積雪が見られる一方、夏の暑さでも有名な地域です。
当事務所では、利根川の支川である烏川、神流川、鏑川、碓氷川の河川改修および維持管理、また群馬県の幹線道路である国道17号、18号、50号の整備および維持管理を担当しています。

2.主な事業

【河川事業:烏川上流築堤】

無堤防区間である高崎市寺尾、根小屋地区は平成10年、11年、12年及び令和元年に起こった洪水で浸水被害が発生し、一部家屋浸水や鉄道の運休等の被害が生じました。このため、早期に堤防整備を実施し浸水被害の防止と住民の安心安全を図るために、現在、築堤工事および樋管工事を実施しています。

烏川上流築堤事業(令和4年3月撮影)

 

【道路事業:国道17号上武道路】

上武道路は、国道17号の交通混雑の緩和および地域活性化を目的とした、高規格道路「熊谷渋川連絡道路」の一部を構成する改築事業です。

平成29年3月までに暫定2車線区間を含めて全線が開通し、令和3年9月には前橋市上泉町から同市鳥取町までの延長2.6kmが4車線で開通したところです。現在は、残る暫定2車線区間のうち、前橋市今井町から同市富田町および前橋市鳥取町から同市上細井町までの延長4.5kmについて、令和5年度までの順次4車線化を目指し、橋梁上部工事、改良工事および舗装工事を推進しています。

上武道路施工状況(令和4年9月撮影)
【道路事業:国道17号渋川西バイパス】

渋川西バイパスは、渋川市内の交通混雑の解消、渋川・吾妻地域の連携及び地域活性化の支援を目的とした、群馬県と長野県を結ぶ高規格道路「上信自動車道」の一部を構成する改築事業です。

平成16年度に事業に着手し、平成25年12月には現道拡幅区間である渋川市中村から同市石原までの延長約1kmが4車線で開通しました。現在は、バイパス区間である渋川市渋川から同市金井までの約1.9kmについて、令和7年度の開通を目指し、函渠工事、改良工事を推進しています。

渋川西バイパス施工状況(令和4年10月撮影)
【道路事業:国道17号中村交差点立体】

中村交差点立体は、国道17号の中村交差点における観光ピーク時をはじめとした慢性的な渋滞の緩和と、交通円滑化による事故の削減を目的とした改築事業です。令和4年度に事業に着手し、現在、調査設計を推進しています。

中村交差点付近の交通量は国道17号の県内平均と比べて多く、特にシルバーウィークなどの大型連休時には、草津や伊香保をはじめとした観光地に向かう交通により関越道本線まで及ぶ慢性的な渋滞が発生しています。また、中村交差点周辺の死傷事故率は群馬県内の国道17号平均の約2倍であり、事故類型では交通渋滞による速度低下に起因する追突事故が約8割を占めています。中村交差点の立体化により、慢性的な渋滞の緩和が期待されるとともに、渋滞に起因した追突事故の削減に寄与します。

中村交差点の渋滞状況(令和3年11月撮影)
【道路事業:国道144号鳴岩橋災害復旧(権限代行)】

群馬県嬬恋村大笹地先では、令和元年東日本台風(台風19号)の大雨で一級河川吾妻川の異常出水が発生し、並行する国道144号の鳴岩橋が流出するなど甚大な被害が発生しました。国道144号鳴岩橋については、「大規模災害からの復興に関する法律」に基づく道路の直轄権限代行により、国が県に代行して復旧工事を推進しています。

令和元年11月8日より復旧工事に着手し、同年12月26日に盛土形式による緊急迂回路が開通。令和2年5月8日に仮橋による迂回路へ交通切替を行った後、引き続き道路改良工事、橋梁工事を推進し、令和4年12月10日に鳴岩橋が完成、本復旧ルートの通行が可能となりました。

完成した鳴岩橋の状況(令和4年12月撮影)

3.おわりに

激甚化・頻発化する風水害や切迫する地震災害等に屈しない、強靱な国土づくりをより強力に進める必要がある中、当事務所は地域のニーズにしっかり応えていくため、今後も地域の皆さまのご理解、ご協力のもと、着実に社会基盤整備を進めてまいります。

関東地方整備局カテゴリの最新記事