国土交通省 四国地方整備局 土佐国道事務所長 森山 崇

国土交通省 四国地方整備局 土佐国道事務所長 森山 崇

高知県東部地域の発展を支える道路ネットワーク整備

国土交通省 四国地方整備局
土佐国道事務所長 森山 崇

1.四国8の字ネットワークの整備

四国8の字ネットワークは、地方の中心都市を効率的に連結し、地域間交流の支援や南海トラフ地震などの災害時の緊急輸送道路の確保などの「命の道」としての機能を担う道路ネットワークであり、四国四県を結ぶ延長約800kmのうち、これまでの開通済み区間は全体の約7割にあたる約600kmとなっています。(図1)

このうち高知県内の延長は約260kmであり、これまで、その6割となる約160kmが開通しています。現在当事務所では、このうち高知東部自動車道(南国安芸道路・南国安芸道路(芸西西~安芸西))、阿南安芸自動車道(安芸道路・海部野根道路・野根安倉道路、奈半利安芸道路(安田~安芸))の整備を行っています。

図1 四国8の字ネットワークの整備状況

2.高知南国道路(一般国道55号)

一般国道55号 高知南国道路は、高知東部自動車道の一部を構成する路線として、高知市から南国市における交通混雑の緩和や交通安全の確保を図るとともに四国横断自動車道と接続し、広域交通ネットワークの形成を目的として計画された延長15.0kmの自動車専用道路で、平成二年度に事業化、令和三年二月二十七日に全線開通(暫定二車線)となりました。(図2)

図2 高知南国道路

3.南国安芸道路(一般国道55号)

一般国道55号 南国安芸道路は、高知東部自動車道の一部を構成する路線として、安芸地方生活圏と高知中央生活圏の連携強化を図るほか、広域交通ネットワークを形成することを目的として計画された延長21.0kmの一般国道の自動車専用道路であり、平成十二年度に高知龍馬空港IC~芸西西IC間(延長12.5km)、平成二十三年度には芸西西IC~安芸西IC(仮称)間(延長8.5km)がそれぞれ事業化されました。(図3)

これまで、香南のいちIC~芸西西IC間の延長9.0kmを開通(暫定二車線)しているところであり、現在は、高知龍馬空港IC~香南のいちIC間(延長3.5km)の令和七年春頃開通予定に向け、改良や橋梁工事を全面展開しています。(写真1)

図3 南国安芸道路
写真1 整備状況
写真2 赤野高架橋

また、残る芸西西IC~安芸西IC(仮称)間(延長8.5km)についても、赤野高架橋上部工事(写真2)、改良工事等を推進しています。

4.安芸道路(一般国道55号)

一般国道55号 安芸道路は、阿南安芸自動車道の一部を構成する路線のうち、安芸市伊尾木から馬ノ丁までの延長5.8kmの自動車専用道路であり、高知東部自動車道と接続して高知東部地域の高速ネットワークを形成し、南海トラフ地震などの災害時の緊急輸送道路の代替路の確保や第三次救急医療施設への速達性の向上、安芸市街地部の交通混雑の解消、などを目的とし、平成二十四年度に事業化されました。(図4)

現在は、調査・設計及び用地買収、改良工事、安芸川橋及び伊尾木川橋の上部工事(写真3,4)を進めるととともに、本年度からはトンネル工事(安芸トンネル)に着手する予定としています。

図4 安芸道路
写真3 伊尾木川橋
写真4 安芸川橋

5.海部野根道路(一般国道55号)

一般国道55号 海部野根道路は、阿南安芸自動車道の一部を構成する路線のうち、徳島県海部郡海陽町多良から高知県安芸郡東洋町野根までの延長14.3km(うち高知県側6.8km)の自動車専用道路であり、都市部や空港からのアクセス改善による観光振興や地域産業の発展などを支援するとともに、南海トラフ地震発生時の住民の避難や緊急物資輸送を支えることを目的とし、平成三十一年度に事業化されました。(写真5)
現在は、調査・設計や用地買収を推進しています。

写真5 海部野根道路

6.奈半利安芸道路(安田~安芸)(一般国道55号)

一般国道55号 奈半利安芸道路(安田~安芸)は、阿南安芸自動車道の一部を構成する路線のうち、安芸郡安田町東島から安芸市伊尾木までの延長9.1kmの自動車専用道路であり、南海トラフ地震発生時に住民の避難や緊急物資の輸送を支える「命の道」として機能する信頼性の高い道路ネットワークを形成するとともに、物流拠点や空港、高次救急医療機関等へのアクセス向上により、高知県東部地域における産業振興や観光振興、緊急輸送など医療活動を支援することを目的とし、令和四年度に事業化されました。(写真6)
現在は、調査・設計を推進しています。

写真6 奈半利安芸道路(安田~安芸)

7.野根安倉道路(一般国道493号)

一般国道493号 野根安倉道路は、阿南安芸自動車道の一部を構成する路線のうち、安芸郡東洋町野根から安芸郡北川村安倉までの延長8.5kmの道路であり、豪雨等による土砂災害や南海トラフ地震による津波発生時に国道493号及び国道55号の代わりに地域の分断・孤立を解消し、円滑な救命・救急活動に寄与するほか、地域住民の安全性・利便性の向上や高知東部地域の産業・観光支援を目的とし、令和二年度に事業化されました。(写真7)

写真7 野根安倉道路

この区間は、急峻な地形、脆弱な地質等の様々な技術的課題があり、高知県からの要望を踏まえ直轄権限代行事業として整備を進めており、現在は調査・設計、用地買収を推進しています。

8.おわりに

今後におきましても、激甚化・頻発化する自然災害や南海トラフ地震発生時の緊急輸送道路に資する「命の道(四国8の字ネットワーク)」の整備を推進し、高知県東部地域の発展に向け、今後も着実な事業の推進に取り組んでまいります。

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