道内を結ぶ交通ネットワークの拠点地として観光アクセス整備や河川・砂防のインフラの早期整備を図る
北海道 上川総合振興局 副局長(建設管理部担当)
信太 一人
―― 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせ下さい
信太 上川管内の勤務は、事業課以来の2回目となります。管内は南北に長く、実際に移動してみて時間も非常にかかることを実感しました。
地域の特徴としては、農産業が盛んで、多種多様な農作物などが生産されて道内有数の食料供給地であります。また、管内には大雪山国立公園などを有し、山岳、温泉などの自然や観光資源に恵まれた地域でもあります。このような食と観光を生かした地域づくりが重要と感じたところであり、道央圏や道東圏と道北圏を結ぶ交通ネットワークの強化や観光拠点へのアクセスルートの整備をはじめ、自然災害が繰り返されている状況において、安全・安心な暮らしを守る河川や砂防のインフラの早期整備が課題となっております。このような課題に対し、地域の皆様の声を聞き、職場では元気で楽しく仕事が出来る環境づくりに努めてまいります。
旭川幌加内線２工区
―― 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
信太 管内では、大雨による浸水被害など繰り返し被害を受けており、再度災害の防止の観点から改良復旧をペーパン川などで進めてきております。また、十勝岳は前回の噴火から30年以上経過し、近年、活動が高まっており、大正15年の噴火では、融雪型火山泥流により多くの方が犠牲になるなど甚大な被害が発生しており、こうした被害の軽減のため、富良野川では2号砂防堰堤の嵩上げなどの整備を進めます。
このほかの取組として、剣淵川などで河道掘削、豊栄川において遊水地、ヌッカクシ富良野川においては分水路の整備を進め、浸水被害の防止・最小化を図るほか、比布川では、越水による堤防決壊までの時間を延ばすための堤防天端舗装を整備します。
土砂災害対策では、十六線川などの土石流危険渓流において、砂防堰堤等の整備を進めるとともに、土砂災害から円滑な住民避難のために、土砂災害警戒区域等の指定などを推進します。
そのほか、安全・安心な交通の確保のため、天塩中川線の誉大橋などにおいて耐震補強等を進めるほか、愛山渓上川線などにおいて急流河川対策、士別滝の上線などにおいて交通安全対策を推進します。
金山幾寅停車場線２号橋
―― 令和2年度予算執行にあたり北海道の基幹産業の農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺いします
信太 管内の食と観光に関連する基幹産業を支え、上川管内の特性を活かした地域発展のためには、交通ネットワークの強化が重要な課題となっております。
道路事業では、物流・観光面で大きな役割を担うことが期待されている地域高規格道路｢旭川十勝道路｣の一部となる旭川東神楽道路において、早期の暫定2車線の供用開始に向け、新東神楽橋の上部架設などを進めます。
また、地域の医療、生活等を支える交通ネットワークの連携強化のため、旭川幌加内線や金山幾寅停車場線において交通上の隘路となっている区間などで道路改良を進めていきます。
このほか、観光拠点周辺の道路整備として、日東東雲線の橋梁整備や十勝岳温泉美瑛線の現道拡幅を進めます。河川環境に配慮し魚類等の移動の連続性を確保するため、辺別川において既設砂防堰堤の改良（スリット化）を実施します。
剣淵川改修工事（マタルクシュケネブチ川地区）
―― 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時における復旧対策を担う建設業界へ要望・期待などお聞かせ下さい
信太 これまでに、道路の崩壊や河川の氾濫などの復旧作業等に、大きな力を発揮したように、建設産業は地域の安全・安心に重要な役割を担うとともに、日々の維持管理や冬期の除雪など、日常生活や経済活動になくてはならない存在であります。また、地域の経済や雇用を支えるなど、大きな役割を果たしているところです。
一方で、人口減少・少子高齢化で、若年者の入職が減少しており、将来への担い手の確保・育成が課題となっています。このため、当部としても、関係機関などと連携を図り｢北のけんせつ担い手｣育成会議を昨年3月に立ち上げ、現場見学会など通じ、建設産業の魅力を再認識してもらうなど、持続的発展に向けた取組を進めてまいります。
今後とも、地域の社会資本整備を通じ地域経済の発展に貢献されることを期待しています。
富良野川改修工事（ヌッカクシ富良野川分水路地区）
信太 一人（のぶた・かずひと） 昭和41年1月17日生、札幌市出身 室蘭工業大学大学院修了、平成3年採用 平成27年6月 空知総合振興局札幌建設管理部地域調整課長 平成28年4月 空知総合振興局札幌建設管理部事業室長 平成30年4月 建設部道路課長 令和元年6月 建設部建設政策課長 令和2年4月 現職
