インタビュー/北海道知事 鈴木直道 氏

インタビュー/北海道知事 鈴木直道 氏

ポストコロナ時代を見据えて

北海道知事
鈴木 直道 氏

 

―― 新年を迎え、知事のこれまでの取組の成果を教えてください

鈴木 知事として就任以来、関係人口の創出など人口減少への対応をはじめ、地域課題の解決に向けたほっかいどう応援団会議の立ち上げ・展開、海外に向けた食や観光のプロモーション、胆振東部地震からの復興や安全・安心な地域づくりなど、本道の発展につながる取組を進めてきました。

こうした中、新型コロナウイルス感染症は、世界全体に大きな影響を及ぼし、我が国、そして本道においても、多くの尊い命が失われ、また、社会経済にも甚大な影響が生じています。

とりわけ本道では、全国に先行して感染拡大に見舞われ、手さぐりの中で、未知のウイルスへの対応に迫られましたが、私としては、道民の皆様の命と健康を守ることを第一に考え、感染の急激な拡大により、医療崩壊といった事態につながることを避けなければならないという思いから、できる限りの対策を行ってきました。

この間、道民や事業者の皆様には、多くのご苦労、ご負担をおかけし、ご理解とご協力をいただいていることに改めて感謝申し上げます。

新型コロナウイルス感染症への対応が長期化する中、道では、「新北海道スタイル」の浸透・定着をはじめ、相談・検査・医療提供体制の充実強化や企業等への支援など、感染拡大の防止と社会経済活動の両立に向けた施策を進めてまいりました。

 

―― 厳しい状況が続く北海道の経済・雇用情勢の取り組みを教えてください

鈴木 本道では、感染拡大防止を目的とした外出自粛や休業要請などにより、観光や飲食、運輸などサービス業を中心に需要が消失し、経済に大きな影響が出ています。

感染症による経済への影響は、5月を底に、回復傾向にはありましたが、10月下旬以降は感染症の再拡大により、飲食店の営業時間短縮やGo to トラベルの一時停止など、再び厳しい措置をお願いせざるを得ない状況となり、本道経済は、予断を許さない状況と認識しています。

こうした状況のもとで、これまで道では、大変厳しい経営環境にある事業者の皆様を支援するため、国の事業とも連携し、6次に渡る緊急対策を打ってきており、無利子融資や各種給付金・支援金をはじめ、事業者の皆様の事業継続や雇用維持、
更には離職を余儀なくされた方々への支援に取り組んでいるところです。

また、一時停止となったGo toキャンペーンをはじめとした各種需要喚起策についても、感染症の状況を慎重に見極めながら進めてまいります。

道としては、今後とも切れ目のない対策を打ち出し、コロナ禍により、大変厳しい状況が続く、本道経済の活性化に向け、取り組んでまいります。

道民の皆さまが心を一つに、コロナに強い新たなステージの北海道を目指しましょう。

―― 公共投資による経済効果について

鈴木 公共投資については、全国を上回るペースで進む人口減少や広域分散型の社会構造、頻発・激甚化する自然災害など、本道が直面する多くの課題を踏まえ、道はこれまで、社会資本整備の重点化方針など、中長期的な計画に基づき、効果的・重点的な社会資本の整備に取り組んできたところです。

こうした公共投資は、経済の下支えや地域の雇用の確保にも寄与してきたものと認識しています。また、令和2年度の公共事業は、コロナ禍においても順調に執行されており、感染拡大防止と経済活動の両立に向け地域の経済・雇用を下支えするためにも、安定的に予算を確保していくことが大変重要であると考えています。

―― 道におけるコロナ対策の取組について教えてください。

鈴木 10月下旬以降、札幌市を中心に感染が拡大し、医療機関における集団感染等により医療提供体制のひっ迫の度合いが増加する中、相談窓口や発熱患者の診療体制の強化をはじめ、感染が拡大している地域における必要な病床の確保や、宿泊療養施設の開設などに取り組んできました。

こうした中、道民、事業者の皆様には、外出や往来の自粛、また、休業や営業時間の短縮などにより、大きな負担をおかけすることになりましたが、皆様の多大なるご協力に心から感謝申し上げます。

また、道民の皆様には改めて、マスクの着用を徹底いただくとともに、年末年始にあたり、人の集まる機会が多くなりますので多人数(5人以上)や長時間(2時間超)の飲酒・飲食はお控えいただくようご協力をお願いします。

アウトドアアクティビティ(サイクリング)

―― 最後に、新年に当たって道民の皆さまへのメッセージをお願いします

鈴木 道内では、世界、国内の状況と相まって、再び感染が拡大し、未だ予断を許さない状況が続いています。

私としては、現下の感染拡大を何としても抑え込み、道民の皆様の命と暮らしを守ることができるよう、先頭に立って全力を尽くすとともに、今後も長く続くこの感染症への対応を見据え、徹底した行動変容などにより、コロナに強い社会を構築していく考えです。

また、コロナ禍において、都市一極集中のリスクの高まり、暮らしや働き方に対する意識の変化、さらには、サプライチェーンの見直しやデジタル化、脱炭素化の動きなど、大きな社会変革の兆しが見られる中、雄大な自然や冷涼な気候、ゆとりある空間、そして、多彩で豊富な食・エネルギー資源といった本道の価値は、ウィズコロナ・ポストコロナの中で、一層高まるものと考えています。

新たな年においては、こうした認識を道民の皆様と共有しながら、ウィズコロナの中で、感染症に強い北海道づくりを進めることはもとより、「広域分散」という本道のハンディを、「リスク分散」や「地域の多様性」という強みに変えて、広大で豊かな自然が育む食や観光の更なる磨き上げ、カーボンニュートラルに向けた取組、テレワークやワーケーションを通じた企業、人材の戦略的な誘致、さらには、未来技術で基幹産業である農林水産業や地域の暮らしに活力をもたらす「北海道Society5.0」の推進など、北海道が一丸となって、時代の先を見据えた政策を展開していく考えです。

また、2021年は東京オリンピックのマラソン・競歩、サッカーの札幌開催やアジア初のアドベンチャートラベル・ワールドサミットなど世界規模のイベントが予定され、縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた長年の活動も実りを迎えようとしています。

こうした好機も着実に活かし、道民の皆様と共に、活力ある北海道をつくり上げていきたいと考えています。


鈴木 直道 すずき・なおみち
生年月日 昭和56年3月14日
出身地 埼玉県
平成11年4月 東京都庁入庁
平成20年 夕張市へ派遣
平成22年4月 内閣府地域主権戦略室へ出向、夕張市行政参与
平成22年11月 東京都庁退職
平成23年4月 夕張市長
平成27年4月 夕張市長(2期目)
平成31年2月 夕張市長辞職
平成31年4月23日 北海道知事就任

インタビューカテゴリの最新記事