2023年度 北海道開発予算

2023年度 北海道開発予算

2023年度北海道開発事業費5588億7100万円(前年比微増)、2022年度2次補正合算で7100億4300万円を計上

2023年度 北海道開発予算

はじめに

政府は2022年12月23日、2023年度予算(案)を閣議決定した、それによると一般会計歳出総額は114兆3812億円で過去最大の予算額となった。政府予算案は1月23日召集の通常国会において提出され審議に入り、年度内成立の見込みとなっている。

その内、2023年度国土交通省北海道開発事業費は通常予算5588億7100万円で前年度予算額に対し微増となった。2022年度第2次補正予算1511億7200万円を合算すると7100億4300万円が計上された。

2023年度北海道開発事業費の主な内訳では、道路整備費で2189億3400万円、治山治水事業で1021億9000万円、港湾空港鉄道等で230億2300万円、農林水産基盤整備で1182億6400万円などの計上となった。

今年度の北海道開発予算は、(1)生産空間の維持・発展による食料安全保障、観光振興への貢献(2)日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震への対応も含む、国土強靭化の強力な推進(3)ゼロカーボン北海道等の実現(4)「民族共生象徴空間(ウポポイ)」等を通じたアイヌ文化の復興・創造及び国民理解の促進(5)北方領土隣接地域振興対策―を基本方針としている。

2023年度の主な事業

■強靭で持続可能な国土の形成

◎激甚化・多様化する災害への対応と安全・安心な社会基盤形成

北海道胆振東部地震からの復旧・復興事業ほぼ完了したが、日高幌内川における河道内の土砂不安定堆積で恒久対策工事を実施中。また、営農を継続。厚真ダムなどの本復旧や治山・森林整備事業推進する。大規模水害・土砂災害に備えた治水対策では、石狩川下流域治水対策で北村遊水地の整備、中小河川流域で安平川をはじめ堤防整備、河道掘削など推進。雨竜川ダム再生事業が建設段階へ移行。幾春別川総合開発事業では新桂沢ダム、三笠ぽんべつダムの建設推進。河川氾濫対策で十勝川戸蔦別川砂防堰堤や流路拡幅等整備、十勝岳や樽前山の火山噴火に備えた砂防堰堤整備を推進する。また、災害から迅速な復旧を支える道路交通ネットワークの耐災害性強化を図る。

一方、社会経済を支える海上輸送ネットワークの強靭化推進として港湾における高潮・高波・暴風対策で港湾施設の嵩上げ・補強や防波堤整備を推進。また、山地災害に対する防災力強化等のため、流域治水の取り組みと連動した、山腹工や治山ダム等治山施設の設置や保安林整備。飛砂や風害の防備に加え、海岸防災林整備で津波被害軽減効果が期待される。

■農業水産業・食関連産業の振興

◎食料供給の強化に向けた農地整備

顕在化する農業労働力不足に対応し、大規模土地利用型農業が展開される北海道農業のポテンシャルを最大限に発揮し、食料供給力を図り、新技術や新たな経営形態等のイノベーションによって、若者から選択される職業として農林水産業の魅力を高め、経営資源の円滑な継承を図る必要があると位置づけた。

農地の大区画化や汎用化、排水改良等の整備とスマート農業等新たな農業技術導入による大幅な省力化と低コスト化、高収益作物の生産拡大により収益性の向上を図る。

農業水利施設の戦略的な保全管理として、用水路の更新、排水機場の更新、ため池の地震対策、新技術による施設保存等の強化推進図る。

水産物の安定供給に向けた漁場・漁場の整備として、水産業の競争力強化と輸出促進に寄与するため、屋根付き岸壁等の施設と併せた高度衛生管理対策を推進。水産生物に対応した良好な生息環境空間を創出し、藻場や漁礁の整備や空いた漁港静穏水域を増養殖の場として活用など漁港ストックの最大限活用に資する施設整備を推進する。

国内物流の機能強化と安定性確保として複合一貫輸送ターミナルの整備(苫小牧港等)、国際物流ターミナルの整備(釧路港、石狩新港等)を推進。

■世界水準の観光地形成では、国内外の旅行者の受入環境整備として移動・周遊を支える交通ネットワーク整備で新千歳空港において冬期の安全運航を図るため、誘導路の複線化、滑走路端近傍のデアイシングエプロンの整備。新千歳空港、函館空港、旭川空港、利尻空港等において、引き続き空港の安全・安心な運用に資する空港施設整備を推進。また、観光地や空港への定時性・速達性を向上させる高規格道路等の整備を推進する。(北海道横断自動車道(根室線)阿寒IC~釧路西IC間【令和6年度全線開通予定】

※上段[ ]書は総事業費である。なお、推進費等のうち、北海道特定特別総合開発事業推進費に係る事業費は含まれていない。

(注)
1 道路事業に関する経費(社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金を除く)は、道路整備と道路環境整備の合計 245,234百万円(1.00倍)である。
2 北海道開発予算におけるアイヌ政策に関する経費は、アイヌ伝統等普及啓発等経費のほか、国立民族共生公園の維持管理に要する経費を含めた 1,793百万円(1.00倍)である。
3 推進費等の内訳は、北海道特定特別総合開発事業推進費 4,325百万円及び社会資本整備円滑化地籍整備事業費 88百万円である。
4 公共工事の実施の時期の平準化等を図るため、国庫債務負担行為(ゼロ国債) 41,631百万円を設定している。
5 防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に基づく事業等について計画的かつ円滑な事業執行を図るため、事業加速円滑化国債 66百万円を設定している。
6 北海道開発予算に計上される空港整備事業に関する経費 5,578百万円は、自動車安全特別会計空港整備勘定で計上される事業費の財源の一部であり、同特別会計同勘定における北海道の空港整備事業に関する令和5年度概算決定額は、 16,536百万円となっている。
7 本表のほか、北海道開発の推進のための研究開発に要する経費がある((国研)土木研究所経費 9,104百万円の内数)。
8 四捨五入の関係で合計と内訳が一致しない場合がある。

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