現場寄稿/名瀬港(立神地区)防波堤(沖)災害復旧築造工事(第3次)

現場寄稿/名瀬港(立神地区)防波堤(沖)災害復旧築造工事(第3次)

名瀬港(立神地区)防波堤(沖)災害復旧築造工事(第3次)

五洋建設株式会社 九州支店
現場代理人 竹内 光


図-1 名瀬港位置図

写真-1 着工前状況写真(令和元年11月)

 

1.工事概要

本工事は、台風24号(平成30年9月)の影響により、ケーソン滑動・転倒の被災を受けた名瀬港(立神地区)防波堤(沖)の災害復旧を行うものです。
災害復旧工事の主な内容は以下の通りです。

基礎工(基礎捨石投入、均し)、本体工(スリットケーソン据付2函、ケーソン中詰、中詰均し、蓋コンクリート、蓋ブロック据付)、被覆・根固工(被覆石投入、均し、根固方塊据付)、上部工(上部コンクリート)

図-2 標準断面図

2.施工環境と安全対策について

本工事の施工区域は、フェリー、貨物船等の定期船航路が近接しており、定期船航行の支障にならないよう施工を進める必要があります。そのため、定期船の入出港時刻の確認を随時行い、かつ荷役作業の進捗状況を確認し、航路の安全を確保した上で海上作業を進めています。

また、施工場所は全国でも有数の大水深域(-47m)を有しており、石材の均し時は-20m程度で作業する必要があります。したがって、作業にあたる潜水士の日々の体調確認が重要になります。中でも、適切な潜水時間の設定と減圧時間の管理を徹底し、潜水事故防止に取り組んでいます。

写真-2 ケーソン(2函目)据付状況写真(令和2年5月)

3.ケーソン据付作業について

本工事のケーソン据付は、新設ケーソンを既設ケーソンの間に据付ける施工方法となります。特に、ケーソン2函目の据付は既設函と新設函の間にはめ込む形で据付を行うため、ケーソンの間から入ってくる局部的な潮流や、波浪、風の影響を受けて据付ケーソンが動揺すると、ケーソン同士が接触して損傷する恐れがありました。

上記のような施工条件のもと、据付方法や施工手順の検討を重ね、綿密な据付計画を立てました。据付には無人化据付システムを採用し、ケーソン上に艤装されたウインチや注排水ポンプの各操作・制御を起重機船上に設置した集中制御室にて行うことで作業の安全性を確保するとともに、ケーソンに取り付けたGPSアンテナやカメラで据付位置をリアルタイムに確認することで、据付精度を確保しました。

また、据付前の据付手順周知会をはじめ、作業員とのコミュニケーションを密にとり様々な意見を集約することで、細部の手順の見直しを行い、据付に関わる人全員が自身の役割を理解した上で据付作業を行うことができました。結果として、ケーソンを損傷させることなく、精度良く2函のケーソンを無事に据付けることができました。

写真-3 ケーソン据付完了写真(令和2年5月)

4.おわりに

7月末に上部工の施工が終了し、今後はガット船や起重機船を使用した石材の投入及び均しが主な作業となります。工事は順調に進捗していますが、これから暑さの最も厳しい季節となります。作業員の健康管理に一層配慮しながら、「基本ルールの徹底と確認の励行ヨシ!」のスローガンのもと、安全管理を徹底し工事を進めていく所存です。

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