三遠南信工事連絡協議会の安全活動

三遠南信工事連絡協議会の安全活動

三遠南信工事連絡協議会の安全活動

―― 消防との合同訓練 ――

三遠南信工事連絡協議会 会長
北沢建設株式会社 作業所長
宮下 克寛

現場状況(ドローン撮影)

 

三遠南信工事連絡協議会は、国土交通省中部地方整備局飯田国道事務所が事業を進める三遠南信自動車道の受注者によって組織する団体です。令和4年11月現在で12現場が加盟し、合同安全パトロールをはじめ安全訓練など協議会全体で安全に対する取組を実施しています。

三遠南信自動車道は、長野県飯田市山本の中央自動車道を起点として、静岡県浜松市北区引佐町の新東名高速道路までを結ぶ延長約100kmの高規格幹線道路です。

三遠南信の「三」は愛知県豊橋市を中心とする三河地域、「遠」は静岡県浜松市を中心とする遠州地域、「南信」は長野県飯田市を中心とする南信州地域をそれぞれ示しています。三遠南信自動車道の整備により、県境を越えた広域ネットワークが形成されるものと期待されています。

現在、飯田国道事務所より発注された飯田上久堅・喬木富田ICから喬木ICまでの7.5kmが当協議会の受け持ち範囲となっています。

当協議会の活動における代表的な取り組みとして、飯田広域消防との工事現場位置情報共有と合同訓練が挙げられます。

地形が複雑で目印が少ない山間地において、被災場所を迅速かつ正確に伝えることは非常に困難であり、飯田広域消防との位置情報等の情報共有は、工事現場と飯田広域消防をつなぐ命綱となっています。

当協議会において「119番通報時における現場位置の説明アンケート」を実施したところ、約70%が「通報に時間を要する」と回答されました。この結果は、万が一事故が発生した場合に事故発生場所の特定に時間を要し、救急隊や救助隊の到着が遅れること意味しています。

こうした状況から正確な被災場所の連絡を確立する必要がありました。

工事現場における救助要請の問題点は、位置情報の伝達の難しさです。この問題点を解決するために、飯田広域消防との情報共有がスタートしました。

情報共有の内容については、発注者である飯田国道事務所と当該工区を管轄する飯田広域消防の間で定めており、作成方法や様式はマニュアル化されています。

受注者は各現場の位置情報を整理して発注者に提出し、発注者が一覧表を添付して飯田広域消防に提出しています。

飯田広域消防との情報共有の問題点把握と受注者の安全意識向上を目的に、平成24年から飯田広域消防と発注者、受注者で合同訓練を実施してきましたが、今年度でこの活動も10年目の節目を迎えます。情報共有資料を活用した119番通報訓練【写真.1】をはじめ、救急車の誘導訓練【写真.2】など、本番さながらの緊張感ある訓練を行っています。

過去には、消防署救助隊と現場作業員が協力し現場内のクレーンを利用して地上20mの高さから被災者を救助したほか、不明者が発する僅かな音を頼りに捜索するサイレントタイムを取り入れた訓練を行ってきました。

本年度は10月に訓練を開催しており、前述の取り組みに加え新たにUAV(ドローン)を用いた行方不明者捜索訓練・ウェアラブルカメラを活用した現場状況把握・応急処置訓練を行いました。

工事現場においては、全工期ゼロ災害が絶対条件となりますが、不足の事態に備えると共に安全意識の高揚持続の観点から、今後も当協議会ではこの取り組みを継続かつ継承して行きたいと思います。

消防との合同訓練(上:写真1、下:写真2)


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