寄稿/山陰西部国道事務所 福島 広志

寄稿/山陰西部国道事務所 福島 広志

山陰道整備の推進について

国土交通省 中国地方整備局
山陰西部国道事務所 福島 広志

写真1 事務所看板設置


図1 ⼭陰道位置図

表1 ⼭陰道整備状況、( )内は全体延⻑に対する⽐率令和2年4⽉1⽇時点

1.はじめに

山陰道は、鳥取県鳥取市を起点とし、山口県下関市を終点とする延長約380kmの道路で、鳥取・島根・山口3県における主要都市を東西に結び、移動時間の短縮や、空港・港湾へのアクセス強化を図ることにより、各地域間の交流・連携の強化および推進、山陰地方の産業・経済の発展や観光振興に資する重要な道路です。
山口県内の整備率は令和2年4月1日時点で、約17%の20kmが開通したのみで、鳥取県の約85%、島根県の約63%と比べて大きく遅れている状況です。
山陰西部国道事務所は、現場に近いメリットを活かし、地域の方々と連携し、島根・山口県境以西の山陰道の整備をより一層強力に推進するため、令和2年4月1日に山口県萩市に新たに設置されました。当事務所は管理業務を担っておらず、山陰道整備だけを専門に行う、いわゆる改築事務所です。
山口県内の山陰道は、鳥取・島根の両県と比較して整備が遅れており、一刻も早く開通させるため、調査及び事業中区間について鋭意進捗を図っています。

2.山陰道の整備状況

1)概要

当事務所では、平成29年度に事業化された木与防災(延長5.1km)及び平成28年度に事業化された俵山・豊田道路(延長13.9km)の工事を促進しており、また、大井~萩間、及び三隅~長門間については地域と連携・協力しながら事業化に向けて鋭意調査を進めています。

2)事業個所について

①一般国道191号木与防災
木与防災は、国道191号阿武町木与地区の事前通行規制区間を回避し、緊急時の代替路を確保することを目的とした阿武郡阿武町木与~同町宇田に至る延長5.1kmの自動車専用道路です。
平成29年度に事業化し、平成30年度に用地着手しており、令和2年3月には地元の御協力もあり本線用地取得を完了しました。
工事については令和元年度から工事用道路に着手しており、令和2年度は改良工事、橋梁下部工事、トンネル工事を促進します。
近年、豪雨等の災害が頻繁に発生しており、ひとたび道路が寸断されると地域の生活や物流活動に多大な支障をきたすため(写真2・3)、災害に強い道路が整備されることで、平常時・災害時を問わず地域の生活や経済活動の継続を保つ効果が期待される道路です。

写真2 平成23 年⼟砂崩落状況

写真3 平成23 年通⾏⽌め状況

 

②一般国道491号俵山・豊田道路
俵山・豊田道路は、広域観光連携の強化、第3次救急医療機関へのアクセス改善、下関から長門間の代替路の確保を目的とした、下関市豊田町八道~長門市俵山小原に至る延長13.9kmの自動車専用道路です。
平成28年度に事業化し、平成30年度に用地着手して令和2年3月現在で約20%を取得している状況です。
工事については令和元年度から工事用道路に着手しており、令和2年度は改良工事、橋梁下部工事を促進していきます。
本道路に並行する現道は急カーブが連続し、道幅の狭い区間があるなど道路構造上の問題を抱えており(写真4)、安全性・走行性向上の効果が期待される道路です。また、高速道路ネットワークが延伸することで山陰西部地域と九州方面とのアクセス性が向上し、広域連携が強化されることで観光や地域産業の活性化が期待されます。

写真4 並⾏現道の狭⼩区間

3)調査区間について

図2 調査区間位置図

①大井~萩間
大井~萩間は、現道が海岸沿いを通るため越波による通行止めが発生しています。また、道幅の狭い区間や道路線形が悪いこと、休日などに発生する渋滞が課題になっています(写真5)。
平成27年度から平成30年度にかけて計画段階評価を実施し、地域の課題や達成すべき目標への対策や地域の意見徴収の結果等を踏まえて、道路計画案を立案しました。
令和元年度より都市計画・環境アセスメントを進めるための調査に着手しており、令和2年度も鋭意調査を進めていきます。

写真5 萩市街地の渋滞状況

②三隅~長門間
長門市三隅中から長門市深川湯本間は信号が多い市街地部で、多発する事故が課題になっています。また、洪水時の浸水や土砂災害による通行止めが発生しており、生活や経済活動に支障をきたしています(写真6・7)。
このような課題を解決するため、平成29年度より計画段階評価に着手しており、令和2年度も鋭意調査を進めていきます。

写真6 交通事故状況

写真7 国道191 号被災状況(H27.8)

3.最後に

山陰道の早期整備は地域の悲願であり、その想いは強い要望等から日々感じています。
山陰西部国道事務所では、地域との連携をさらに強化し、一日でも早い整備に向けて鋭意取り組んでまいります。

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