寄稿/中国地方整備局 広島国道事務所 所長 神田 忠士

寄稿/中国地方整備局 広島国道事務所 所長 神田 忠士

西日本の大動脈国道2号の交通円滑化へ向けて

東広島・安芸バイパスが広島の発展を支える

国土交通省 中国地方整備局
広島国道事務所 所長
神田 忠士


 

上大山地区付近工事状況(広島市安芸区上瀬野町地内)

私たち広島国道事務所は、広島市を中心とした広島県中西部に位置する広島都市圏において、誰もが安全で安心して暮らせる道づくり、広島都市圏の経済や活力を支える道づくりを目指し、一般国道2号、31号、54号、185号及び375号(東広島・呉自動車道)の延長237.5kmの管理を担当しています。

また、道路改築事業のほか、交通安全対策事業や維持管理なども行っています。

現在は特に一般国道2号東広島・安芸バイパスの整備を進めており、今年度の供用を目指し事業を行っています。

大阪市から北九州市を結ぶ一般国道2号は、西日本の大動脈として、沿道地域の産業・社会活動や住民の生活に大きな役割を果たしています。

しかしながら、東広島市~広島市間の国道2号では、慢性的な交通渋滞が発生しており、日常生活や経済活動の支障となっています。

また、瀬野川沿いを走るこの区間は、幅員が狭く、カーブや勾配も急なため交通事故が多く、さらに、大雨により交通が麻痺する危険性も高くなっています。

ところが、こうした事故や災害によって通行止めになっても、これに替わる迂回路がないのが現状です。

こうした問題を解決するため、東広島市八本松町から安芸郡海田町に至る延長17.3kmの東広島・安芸バイパスが計画されました。

本バイパスの全線整備により、走行時間が約20分短縮され、また、走行に係る経費の削減や死傷事故の削減等が期待されます。

平成30年7月豪雨の際は、並行する国道2号が寸断され、社会経済に大きな影響を与えましたが、バイパスの整備により周辺道路網と合わさった重層なリダンダンシーが構築され、安定的かつ円滑な地域間移動が期待されます。

海田高架橋付近工事状況(安芸郡海田町地内)

第3次救急医療機関がない東広島市においては、重篤疾患等の患者が広島市内へ搬送されていますが、バイパス整備によりそれら広島市内への搬送の速達性が向上し、住民の安全・安心な暮らしを支える効果もあります。

大手自動車メーカーの関連事業所が集積している東広島市から、広島市の工場への部品輸送が日々行われていますが、混雑時間帯を避け、余裕を見込んだ運行をする等、現在の非効率な運用となっている中、バイパス整備により生産活動の効率化が図られるなど、経済活動を支える観点からの効果も期待されます。

これら様々な効果が期待される東広島・安芸バイパスの今年度開通に向けた整備や、その先の広島南道路の明神高架橋の整備など、管内事業の着実な推進を図り、地域の安全・安心の確保や経済活動の支援に努めてまいります。

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