寄稿/中部地方整備局 紀勢国道事務所

寄稿/中部地方整備局 紀勢国道事務所

もっと強く、もっと安全に、もっと豊かに

―― 近畿自動車道紀勢線-整備状況と期待される効果

 

国土交通省 中部地方整備局
紀勢国道事務所長
藤山 一夫

 

1.はじめに

近畿自動車道紀勢線は、大阪府松原市を起点に紀伊半島沿岸を通り三重県多気郡多気町で伊勢自動車道につながる延長約335kmの国土開発幹線自動車道です。この道路は、中京圏、関西圏等と三重県南部地域を結ぶ広域ネットワークを形成し、周辺地域の産業支援や、世界遺産『熊野古道』を有する東紀州、さらには伊勢志摩への観光アクセスの向上などに貢献する道路です。紀勢国道事務所では、このうち三重県内の高規格道路ミッシングリンク解消のため、国土強靱化に資する広域防災ネットワーク強化のため、紀勢自動車道、熊野尾鷲道路、熊野道路、紀宝熊野道路の整備を担っています。


2.これまでの整備状況

紀勢国道事務所では平成25年度までに紀勢自動車道全線ならびに、熊野尾鷲道路(尾鷲南ICから熊野大泊IC)を開通して参りました。本年8月29日に熊野尾鷲道路Ⅱ期(尾鷲北ICから尾鷲南IC)を開通予定であり、現在は全区間にわたり舗装工事や施設工事を進めているところです。これにより、中京圏から三重県熊野市まで連続した高規格道路ネットワークが結ばれます。また、熊野道路では、用地買収の継続および橋梁下部工事などを行っているところですが、今年度は事業区間で初めてのトンネル工事に着手する予定としています。平成31年度に事業化した紀宝熊野道路では、調査設計や用地買収等を進め、早期の工事着手を目指して事業を進めています。この区間を事業化したことで近畿自動車道紀勢線全線が事業中となり、紀伊半島一周高速ネットワーク整備に向けて大きく前進しました。

 

開通に向け整備が進む熊野尾鷲道路(小原野地区)

 

3.期待される効果

東紀州地域にとって唯一の幹線道路である一般国道42号は、南海トラフ巨大地震時の津波浸水想定区域を通過し、また、急カーブを有する峠道には、事前雨量規制区間があり、年間に数回通行止めを実施するなど緊急輸送道路の確保、高次救急医療施設へのアクセス等の課題や日常生活への影響がありました。紀勢自動車道、熊野尾鷲道路、熊野道路、紀宝熊野道路の整備によって、災害に強い広域防災に資する道路ネットワークが確保されるとともに、救急医療活動の支援に資するものと考えています。さらには、中京圏、関西圏と東紀州地域を結ぶ広域ネットワークが形成され、輸送インフラの充実による産業支援や、観光客の周遊性向上による観光資源の活性化が期待されます。

 

橋梁下部工事が進む熊野道路(大泊地区)

 

4.おわりに

本年4月に『防災・減災、国土強靱化に向けた道路の5か年対策プログラム(中部ブロック版)』が策定され、災害に強い国土幹線道路ネットワーク整備を一層推進することとしています。紀勢国道事務所では、引き続き高規格道路のミッシングリンク解消に向け、事業を推進して参ります。
地域の暮らしに根ざし、親しまれてきた紀勢の道が、もっと安全、安心で、暮らしの中に活用でき、もっと多くの皆様に親しんでもらえるよう、よりよい道づくりに取り組んで参ります。

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