寄稿/中部地方整備局 岐阜国道事務所長 米村 享紘

寄稿/中部地方整備局 岐阜国道事務所長 米村  享紘

東海環状自動車道153kmの全線開通を目指して

国土交通省 中部地方整備局
岐阜国道事務所長
米村 享紘

 

東海環状自動車道の整備状況

私たち岐阜国道事務所は、岐阜県西南部における国道6路線、約237km(令和4年4月1日現在)の維持管理及び東海環状自動車道・一般改築事業、交通安全事業、電線共同溝事業、被災した県道川島大橋の直轄権限代行による災害復旧事業を担当しています。

現在、東海環状自動車道の1日も早い全線開通を目指し、全力で整備を進めています。国道475号東海環状自動車道は、名古屋市を中心に半径30~40km圏に位置する道路で、愛知県、岐阜県、三重県の3県に跨る延長約153kmの高規格道路です。この道路の整備により、新東名・新名神高速道路、伊勢湾岸自動車道、東名・名神高速道路や中央自動車道・東海北陸自動車道等の放射状道路を連結し、広域道路ネットワークを構築します。これまでに延長約153kmの約7割にあたる約110kmが開通しており、現在、西回り区間に残る約43km区間について、国土交通省と中日本高速道路株式会社が共同で整備を進めております。国土交通省では、岐阜県内を岐阜国道事務所が担当し、三重県内を北勢国道事務所が担当しています。

岐阜国道事務所が事業を進める山県IC~大野神戸IC間約18.5kmでは、令和6年度の開通を目指し、トンネル工事、橋梁上下部工事、道路改良工事を全面展開しています。令和4年10月8日(土)には、西回り区間で最長となる全長4,931mの(仮称)岐阜山県第一トンネルが貫通しました。

 

大野神戸IC周辺開発状況
防災道の駅パレットピアおおの

当日は貫通式が行われ、県選出国会議員、首長、地元関係者、施工業者など約100名が出席し、貫通発破の後、通り初めや鏡開き等が行われ、山県市と岐阜市を結ぶトンネルの貫通を祝いました。本トンネル工事は、平成30年9月に掘削を開始しました。掘削にあたっては、低土被り区間や複数の断層帯が確認されるとともに、施工ヤードが民家に近接しているため、騒音や粉塵などへの配慮を行いながら進める大変難しい工事でしたが、施工者の高い技術力と安全施工により、無事貫通することが出来ました。改めて、工事にご協力いただきました地域の皆様に感謝申し上げます。

東海環状自動車道のストック効果(中京圏の発展)

また、岐阜・三重県境を跨ぐ養老IC~(仮称)北勢IC間約18.0kmにおいても、令和8年度の開通を目指し、トンネル工事、橋梁上下部工事、道路改良工事を全面展開しています。この区間の開通により、東海環状自動車道は全線開通となります。当該区間では、津屋川と養老鉄道を跨ぐ津屋川高架橋において、国内陸上部で最長級の658mに及ぶ送り出し架設を実施するとともに、令和4年5月には、延長約4,730mの県境トンネルの掘削工事に着工する等、順調に工事が進んでいます。

(仮称)岐阜山県第一トンネル
県境トンネル(R4.7撮影)
津屋川高架橋架設(R4.4撮影)

東海環状自動車道の整備により、企業活動の生産性向上、地域活性化、防災等の様々なストック効果が期待され、開発の効果は子孫に引き継がれていきます。

東海環状自動車道の沿線では、工業団地が整備される等、民間需要が誘発されています。平成12年の東回り全線工事着手後、沿線市町に工業団地が31箇所完成し、製造業従業者数が約2.7万人増加、製造品出荷額等が約9兆円増加しました。令和元年度に開通した大野神戸IC周辺では、工場立地や防災拠点整備が進んでいます。道の駅「パレットピアおおの」では、広域災害時における警察・消防・自衛隊の活動拠点として、令和3年6月に防災道の駅に選定されました。

岐阜国道事務所では、一般改築事業においても、今年度、国道21号岐大バイパス岐阜市内立体に事業着手する等、着実に道路ネットワーク整備を進めております。今後も地域の期待に応えられるよう、引き続き関係自治体と緊密に連携をとり、交通渋滞緩和や地域の安心・安全に資する道路整備を着実に推進して参りますので、引き続き関係者の皆様方のご協力をよろしくお願いいたします。

岐阜山県第一トンネル貫通式(R4.10.8)

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