寄稿/中部地方整備局 飯田国道事務所長 大口 鉄雄

寄稿/中部地方整備局 飯田国道事務所長 大口  鉄雄

南信州地域の発展へ向け、
進む三遠南信自動車道の整備

国土交通省 中部地方整備局
飯田国道事務所長
大口 鉄雄

 

図1 三遠南信自動車の整備状況

期待される効果

国道474号三遠南信自動車道は長野県飯田市山本から静岡県浜松市北区引佐町に至る延長約100kmの高規格道路で、中央自動車道飯田山本ICと新東名高速道路浜松いなさJCTを結ぶ広域ネットワークを構築するとともに、東三河・遠州・南信州の交流促進、連携強化および高速サービスの提供、災害に強い道路機能の確保、救急医療活動の支援に寄与するなど、地域にとって大きな役割を担う道路です。また、移動距離の長さ等が課題となっていた南信州から東三河・遠州地域への時間短縮により自動車部品、電気機器などの製造業や宇宙航空産業、食品加工業の地域間産業連携の強化が期待されるほか、日本のチロルとも称される「下栗の里」や「霜月まつり」など、観光交流の活性化についても期待されます。

三遠南信自動車道は、全体の約6割が開通し、残る区間においても鋭意事業を推進しています。事業中区間のうち東栄IC~鳳来峡ICではトンネル工事が順調に進めば令和7年度の開通を予定しています(図1)。三遠南信自動車道の全線開通により、飯田市役所・浜松市役所間では部分開通時に比べて約50分の時間短縮効果を見込んでいます(図2)。

図2 三遠南信自動車の開通による所要時間の変化

事業進捗状況

現在、飯田国道事務所では、三遠南信自動車道の飯喬道路及び青崩峠道路の整備を進めています。

飯喬道路は、これまでに飯田山本IC~飯田上久堅・喬木富田ICまでの約15kmが開通しており、残る飯田上久堅・喬木富田IC~喬木ICまでの7.5kmで工事を進めています。この区間は山間部を貫く計画で、11本のトンネル、9つの橋梁といった構造物が主体の道路となっています。このうち、令和4年10月には最初のトンネル(飯喬道路11号トンネル)が完成しました(写真1)。

写真1 飯喬道路11号トンネル(仮称)完成式典

すでに開通している区間においては、天龍峡ICや龍江IC周辺で産業団地の開発や企業進出が進むほか(図3)、天龍橋IC近くの天龍峡大橋桁下に整備した歩道「そらさんぽ天龍峡」(写真2)は、県内外から多くの来訪者が訪れる施設となっています。

図3 飯喬道路周辺の産業団地
写真2 そらさんぽ天龍峡の利用状況

青崩峠道路は、国道152号の通行不能区間を解消するための5.9kmの事業で、長野・静岡両県を結ぶ4,998mのトンネル工事を進めています。現在の掘削率は9割を超えていますが(図4)、中央構造線に近接することから脆弱な地盤が分布し、非常に難しい工事となっており、慎重に掘削工事を進めています。

図4 青崩峠トンネルの整備状況

南信州地域の発展に向けて

南信州地域ではリニア中央新幹線の工事も進められています。三遠南信自動車道とリニア中央新幹線による高速交通網が整備されることで、広域的な人流・物流が活発化し、三遠南信地域のより一層の活性化が期待されます。三遠南信自動車道はじめ、道路ネットワークの整備を進め、南信州地域全体の発展に繋げられるよう努めて参ります。

 

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