岐阜県飛騨地域の発展を後押しする中部縦貫自動車道、
国道41号の整備
国土交通省 中部地方整備局
高山国道事務所長 栗山 健作
高山国道事務所の概要
高山国道事務所は、岐阜県北部の高山市に所在し、E67中部縦貫自動車道、国道41号の改築事業及び延長約150kmの道路管理を担当しています。(図1)
高山市を中心とする岐阜県北部の飛騨地域は、高山市:高山祭(ユネスコ無形文化遺産)、古い町並(国選定重要伝統的建造物群保存地区)、飛騨市:古川祭(ユネスコ無形文化遺産)、下呂市:日本三名泉下呂温泉、白川村:白川郷(世界遺産)など、全国有数の観光資源を持ち、多くの観光客が訪れる地域です。
中部縦貫自動車道の概要
E67中部縦貫自動車道は、長野県松本市を起点とし、岐阜県高山市を経由し、福井県福井市に至る総延長約160kmの高規格幹線道路です。本自動車道は、E19長野自動車道、E41東海北陸自動車道、E8北陸自動車道を相互に連絡して広域交通の円滑化を図ることを目的としており、沿線の文化、観光資源を活かした地域振興や産業経済の発展を支える重要な路線です。(図3)このうち、高山国道事務所では、高山清見道路の整備、飛騨清見IC～高山IC間の道路管理を担当しています。
中部縦貫自動車道 高山清見道路の効果と現在の状況
高山清見道路(24.7km)は、E41東海北陸自動車道と接続する飛騨清見IC～高山西IC間(8.7km)が平成16年11月27日、高山西IC～高山IC間(6.5km)が平成19年9月29日に開通したことで現在15.2kmが開通済みです。これまでの開通により、白川村から高山市街地の所要時間が約44分の短縮となり、E41東海北陸自動車道の全線開通や高速バスの増便といったその他のアクセス性向上とあわせ、白川村内の高校生の高山市内への通学が可能となることで下宿などにかかる経済的な負担軽減の効果が現れています。
また、観光繁望期の国道158号高山市街地の交通集中による渋滞についても、高山清見道路へ交通が転換することで渋滞緩和の効果がみられます。さらに、飛騨地域の主要産業である観光産業については、E41東海北陸自動車道の整備とあわせ、高山市、白川村の観光入込客数は約4倍(平成元年:約240万人→令和元年:約970万人)に増加しており、高山市の観光消費額も大きく増加しています。(図2)
残る高山IC～丹生川IC(仮称)間(9.5km)については、現在、早期開通に向け、工事を全面展開しているところであり、高山清見道路で最後のトンネルとなる坊方トンネル(1,422m)に昨年度契約し、トンネル掘削着手に向け、仮設設備などの工事を進めているところです。残る区間の開通により、関東方面からの交通アクセス向上と観光の周遊性向上、国道158号高山市街地の渋滞緩和・解消、高山市東部の救急医療施設の時間短縮の効果が期待され、地域からも早期完成の声をいただいています。(写真1、2)
中部縦貫自動車道 平湯～日面の検討状況
E67中部縦貫自動車道については、高山清見道路のほか、令和2年度より高山市東部の平湯～日面間の計画段階評価に着手しています。高山市東部の長野県境付近は、上宝・奥飛騨温泉郷地域と呼ばれ、自然豊かで乗鞍岳、新穂高岳などの山岳観光、平湯温泉や奥飛騨温泉などの温泉が有名な地域です。しかし、高山市街地の観光入込客数が増加する一方、上宝・奥飛騨温泉郷地域は減少傾向にあり、東京都とほぼ同じ面積の高山市の中では救急医療施設への所要時間が唯一60分を超え、国道158号の線形不良から交通事故や冬季のスリップ事故の危険性、近年の豪雨による孤立集落の発生などの課題を抱える地域です。こういった課題を解決するために、平湯～日面間の事業着手に向け、計画段階評価の手続きを行っており、これ迄、2回の地方小委委員会とアンケート調査を実施し、3案のルート帯を示しました。(図4)現在、概略ルート・道路構造等を決定するために必要な検討を実施しており、事業化に向けて着実に調査を進めていきたいと考えています。
最後に
E67中部縦貫自動車道の話しが中心となりましたが、国道41号は狭隘な谷地形を通過し、雨量規制区間、落石危険箇所も残されています。国道41号においても安心・安全な道路交通確保などを目的として、現在4つの改築事業を進めており、地域からの期待も高い事業です。(写真3)
道路整備を通じ、飛騨地域の継続的な発展に寄与できるよう、着実に事業を進めてまいります。
