現場寄稿/丸昭建設株式会社

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令和2年度熊本豪雨(球磨川水系支流川内川)
災害復旧工事について

川内川緊急災害復旧(その1)工事、川内川災害復旧(その1)工事
丸昭建設株式会社

那良 昭男


1.はじめに

令和2年7月豪雨による球磨川水系の被災状況は甚大で在り、我社が担当することになりました川内川は球磨川に流入する支流で、合流部は「神瀬地区」と呼ばれる民家の密集する地域であり、甚大な被害が発生している状況でした。

 

7月28日現在の写真(写真1)

 

2.川内川緊急災害復旧(その1)工事におけるビジョン

経験したことのない雨量(時間雨量489.5mm)により民家の2階まで土砂で埋まるような被災状況の中、動脈である道路の復旧による上流部集落の孤立解消や被災家屋及び被災住民の早期帰宅支援を目標として緊急災害復旧計画及び作業に臨みました。

1)道路復旧を早急に行い上流部集落の孤立解消を行う。
2)河川流下水量の確保。
3)二次災害防止対策。
4)被災家屋調査や被災認定業務及び被災住居復旧作業の円滑な進行への配慮。

上記、四つの目標を設定し着工しました。

 

緊急災害復旧(その1)工事・道路復旧完了状況(写真2)
緊急災害復旧(その1)工事・2次災害防止土砂止め堰堤完了状況(写真3)
(写真3)の位置より100m下流部の河道掘削状況(写真4)

 

試掘により既設護岸を確認し、河道掘削の形状と搬出土量の算定を行う。

3.災害復旧における、地域とのコミュニケーションの重要性

緊急災害復旧として着工するにあたり、発注図書等は整備されておらず、河川形状や官民境界など試掘調査と現状確認の繰り返しによる手探り施工を覚悟しておりましたが、被災住民の方々との着工前からの対策会議参加等による交流が、危険個所や、取水井戸の形状などや河川形状や被災前の構造物の形状等の情報により、遅滞なく進捗できたことは、大きな成果となり地域の信頼を得るに至りました。

また、この関係性により、次の「災害復旧(その1)工事」へのスムーズな移行と施工効率の向上への大きな成果だと受け止めております。

4.川内川災害復旧(その1)工事におけるビジョン

災害復旧工事として受注時には、まだ復旧形状等の設計図書整備が完了しておらず、当社の着工前測量結果を基に復旧形状の確認が行われている状況でした。

しかし、現況河川形状を試掘作業で確認しながら、構造物の構築と河川形状の確認を行い、安全に作業の進捗を行うことを第一として施工計画の立案と仮設計画の立案を行い、臨機応変に対応できる施工体制を構築し、工事に臨みました。

1)2次災害の防止計画の立案と実施。
2)現状と地域住民の生活基盤を阻害しない仮設計画の立案。
3)災害時の人員不足を補うための資機材選定計画の立案と実施。
4)施工工区ごとの工程計画を他工区施工業者と協議し円滑な進捗計画を立案する。

上記の事項を入念に精査し、臨機応変な対応が出来るよう計画し実施する。

 

上流部の護岸復旧状況(写真5)
上流部の護岸復旧状況(写真6)

 

5.考察

令和2年8月より令和3年6月までの期間、熊本豪雨災害復旧工事に携わった者として自然災害の予兆は自然が色々な形で知らせてくれたり、ヒントを与えていることを痛感しました。

今後も、想定外と呼ばれる事象が多々発生すると推察されますが、発生する災害には必ず予兆が有ると感じます。

我々土木に係る人間として、予兆に気づける謙虚さを持ち続けることが、事故防止で有ったり復旧工事の計画等に大きな力となるように感じた現場でした。

新しい技術や資機材を使える事に感謝し、謙虚に自然と(現場と)向き合って行くことが安全にまた、地域の実情に合った施工が行える技術者で有りたいと考えます。


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