寄稿/中国地方整備局 前倉吉河川国道事務所長 山田 明

寄稿/中国地方整備局 前倉吉河川国道事務所長 山田 明

鳥取県伯耆地方の山陰道北条道路と米子道路を整備

―― アフターコロナに向けて

国土交通省 中国地方整備局
前倉吉河川国道事務所長 山田 明

倉吉河川国道事務所は、鳥取県中部の倉吉市にあり、鳥取県中部から島根県境までの国道9号、及び並行する山陰道の改築、維持管理、そして県中部を流れる天神川の改修・維持・環境整備、大山山系砂防として、天神川及び小鴨川流域の砂防事業を実施しています。本稿では、私たちが取り組んでいる道路事業について紹介します。

山陰道は、鳥取県鳥取市を起点とし山口県下関市を終点とする、延長約380kmの道路で、鳥取・島根・山口3県の主要都市を東西に結び、円滑な交通の確保を図るとともに移動時間の短縮や、空港・港湾へのアクセス強化を図ることにより、山陰地方の産業・経済の発展や観光振興、災害への備え、防災活動支援を目的として整備を進めています。

北条道路(整備中)

当事務所では、山陰道の一部をなす北条道路と米子道路の整備を行っています。

北条道路は、鳥取県東伯郡湯梨浜町はわい長瀬から東伯郡琴浦町槻下を結ぶ延長13.5kmの自動車専用道路で、鳥取県内最後の山陰道整備区間として2017(平成29)年度に事業着手しました。

2021(令和3)年度は、用地買収、改良工事、橋梁上下部工事等を推進しています。

米子道路は、西伯郡大山町及び米子市内の交通渋滞の緩和及び交通安全の確保を目的とした延長13.6kmの自動車専用道路です。

米子道路(整備中)

大雪による立ち往生(平成29年2月)

 

この路線の日野川東IC~米子南ICでは、渋滞による追突事故が多発しているため、交通阻害箇所の走行性、安全性の向上に向けて、付加車線の整備を進めています。

2021(令和3)年度は、橋梁工事等を推進しています。

これらの整備により、交通の適正な機能分担による安全性が向上します。通過交通と生活交通が分離され、安全で円滑な走行環境が形成されます。

また、観光周遊ルートが拡大し、鳥取県中部への観光客数の増大が期待されなど、観光地の活性化のほか、時間短縮、定時性確保などにより、新たな企業誘致の促進と雇用の確保など、企業進出とともに、それに伴う波及効果も期待されています。

また、当事務所管内の国道9号及び山陰道では、たびたび大雪に見舞われ、スタック車両による交通障害や、長時間の滞留、通行止めが発生してきました。近年においても平成28年度の異常降雪時に、20時間を超える長時間の通行止めが発止しました。こうした異常気象時について、関係期間との情報共有と協力体制の確立、除雪の機材等の体制強化、広報活動や年間を通じた訓練、優先除雪区間の設定による集中除雪体制の確立など、交通障害回避に向けての迅速な対応に備えています。

鳥取県の人口は55万人台に突入し人口減少に歯止めがかからない状況が継続しています。一方で、アフターコロナとしての境港のクルーズ船の寄港数の増加、県内の観光スポットも新しく話題性のあるところは大きく増加するなど、交流人口には地域に高い期待があります。

道路については山陰道の全線開通を目指して現在、鋭意事業を進めているところですが、今後はこれら整備したインフラが地域の将来に向けた活動や期待にしっかり貢献できるようにきめ細かな工夫を行って行きたいと思います。

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