年頭所感／国土交通省 北海道開発局 局長 石塚 宗司

国土交通省 北海道開発局
局長 石塚 宗司

明けましておめでとうございます。

謹んで新年のお喜びを申し上げますとともに、平素から北海道開発行政の推進に特段のご理解とご協力を賜り厚くお礼申し上げます。

さて、昨年を振り返りますと、依然、新型コロナウイルス感染症は猛威を振るい北海道の社会・経済にも甚大な影響を及ぼしたほか、ロシアのウクライナ侵攻により世界の食料危機が深刻化するなど、我が国を取り巻く情勢は急速かつ劇的に変化しております。

このため、北海道開発行政も臨機応変に、かつ、時期を逸することなく対応していく必要があることから、2050年の長期を見据えつつ、新たな北海道総合開発計画の策定に向けた検討が進んでいます。
北海道開発局としても、引き続き、第8期北海道総合開発計画を着実に推進しつつ、未来を見据えた新たな取組に果敢に挑戦してまいります。

第8期北海道総合開発計画の推進に関しては、食と観光を担う「生産空間」の維持・発展に向け、デジタル技術の活用を図りつつ、スマート農業に対応した農地の大区画化など農林水産業の生産基盤の強化、物流ネットワークの整備等を推進するとともに、旅行者の受入環境の整備など、北海道内各地の地域資源を活かした魅力ある観光地域づくり等を進めてまいります。

このほか、近年は全国的に大雨、地震等による大規模災害が頻発しており、北海道においても2018年の北海道胆振東部地震等により大きな被害が発生したところです。引き続き、被災した地域の早期復興を図るとともに、自治体等への支援を行ってまいります。

また、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の発生も切迫しており、自然災害に屈しない強靱な国土づくりをより強力に進める必要があります。このため、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を計画的に進め、あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の本格的実践、総合的な土砂災害対策の加速化、地震津波対策の推進、インフラの老朽化対策、災害時における人流・物流の確保のための交通ネットワーク整備等に取り組みます。

「2050年カーボンニュートラル」の実現については、北海道開発局の主な役割であるインフラ整備・管理を通じてグリーン社会の実現に向けた貢献をしてまいります。

2021年8月には、地域脱炭素の取組の先導役となることが期待される北海道地域を支援するため、国において「ゼロカーボン北海道」タスクフォースが設置され、当局も参画しているところであり、地域における脱炭素の取組に関し、関係機関と連携しながら効果的な支援をしてまいります。具体的には、発生木材バイオマス資源情報の共有及び道の駅を活用した次世代自動車普及促進を推進します。

さらに、インフラ分野においても、道内建設業において率先してカーボンニュートラルの取組を進めるため、北海道、札幌市等と連携し、「北海道インフラゼロカーボン試行工事」を実施するとともに、道路照明灯のLED化等のほか、湿原の保全・再生に向けた取組や千歳川遊水地群におけるタンチョウも住めるまちづくりなど、自然環境が有する多様な機能を積極的に活用するグリーンインフラを推進します。

また、令和2年7月にオープンした「民族共生象徴空間(ウポポイ)」については、アイヌ文化の素晴らしさを体験し、民族共生の理念に共感してもらえるよう、新型コロナウイルス感染症対策の措置を講じた上で、コンテンツの充実を図りながら誘客促進に向けた広報活動を行ってまいります。

昨年末、過去の工事の積算において不適正な支出処理を確認しました。このため、外部有識者を委員とする第三者委員会を設置し、事実関係解明及び原因究明のための調査を実施し、再発防止のあり方について提言いただくことといたしました。その結果を踏まえ、再発防止及び公務の信頼性確保に向け、取り組んでまいります。

結びになりますが、皆様のご健勝とご発展をご祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。