路地裏問答/2020年9月

路地裏問答/2020年9月

安倍首相が8月に、2週連続で病院の検査を受けたことから、重篤説が囁かれ、早くも後任候補が取り沙汰される一方、野党とマスコミはレームダック化への追い込みに躍起だ。

第1次政権で、退陣の原因となった潰瘍性大腸炎が悪化したとの憶測もあり、3度吐血したとの報道も見られた。もちろん、健康不安説を肯定する政権などはあり得ないので、官邸側は通常の健康診断と否定している。しかし、ネットでは「コロナ対策に休みなしだから、疲弊して当然」、「全国戦没者慰霊祭での挨拶で、声に張りが無かった」など、不安視する感想が聞かれた。

こうした動静から、早くもポスト安倍政権構想も浮上し、岸田元外相、石破元防衛相が取り沙汰されるほか、病状急変に備えて菅官房長官による暫定政権といった緊急事態までが聞かれる。

そして、マスコミは政権の終焉ムードを煽るべく、首相の一日の動静を集計し、官邸での滞在時間が短いと指摘。激務説を否定し、激務でなくても体調不良ではないかと、健康不安説を煽っている。

8月24日には在職日数が2,799日となり、歴代内閣で最長の記録を更新した。マスコミはさっそく「レガシーと呼べる政策は何もなく、実現もできなかった」と、批判に熱を上げ、健康不安説に絡めて長期政権の不毛を訴え、退陣を急がせようとしている。

しかし、安倍政権の評価のポイントは、公約が「実現できたか、どうか」ではない。今後の日本国が志向すべき方向性を、公約によって示したことそれ自体が、大きな功績と言うべきである。例えば、デフレスパイラルのどん底にありながら、無能無策だった民主政権から転じて、アベノミクスで脱出への道筋を示した意義は大きい。成果が限定的なので、成功とは言えないが、それは次期政権が引き継いで徹底していけば良いことである。

また、戦後レジームの終焉を宣言し、GHQによって歪められた日本人の現代史を修正し、本来の精神性を取り戻すよう訴えたことは、歴代内閣にとっては想像もつかなかったことだろう。
その歪められた現代史を悪用し、日本国を敵視する隣国に対し、特亜包囲網に直結するドーナツ外交を実行した戦略は、隣国の顔色ばかりを伺ってきた歴代内閣には到底、成し得なかったことである。

そして、安倍政権の最後の仕上げは憲法改正だが、歴代内閣であれば、護憲派のヒステリーに怯え、国民を納得させる自信もなかったため、口が裂けても触れなかったタブーである。それを恐れずに敢えて踏み込んだのは、安倍政権だけである。

湾岸戦争以来、世界のATMと軽視されてきた日本国が、尊厳と威信を取り戻すには、こうした大胆な改革を通じて、主体性を取り戻すことが必要だ。しかし、それらは一代で成し遂げられる話ではない。だからこそ、それを代々の内閣が引き継ぎながら、着実に実現していけば良いのである。

ただし、後任者が前政権の理念を踏襲していける人材か、どうかが問題である。安倍首相が本命視するのは岸田元外相とされるが、石破氏に比べてインパクトの弱さが指摘されている。

8月4日のミサイル防衛力強化に関する記者会見では、「日本の防衛力強化は、中国、韓国の了解が必要ではないか」とする東京新聞記者の、露骨な反日思考丸出しの愚問に対し、河野防衛大臣は「ミサイル配備を強化する中国に、なぜ了解を得る必要があるのか」「自国の領土を防衛するのに、韓国の了解がなぜ必要なのか」と、傲然と反問し、記者を沈黙させた。主権国家としては当たり前の主張で、ネットでの評価も大絶賛であった。

今後の政権に求められるのは、このように反日マスコミも対日敵視国にも怯むことなく、日本国としての国論を主張し、国益を守り抜く覚悟と度胸を持つ人材である。

 

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