年頭所感／北海道開発局 釧路開発建設部 部長 石川　伸

釧路川治水事業１００年、地域が持つポテンシャルを最大限に活かす社会資本整備や広域交通ネットワークの構築を図る

国土交通省 北海道開発局
釧路開発建設部
部長 石川　伸

明けましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げますとともに、平素より釧路開発建設部が実施しております開発事業につきまして、深い御理解と御協力を賜っておりますことに厚く御礼申し上げます。

さて、第8期「北海道総合開発計画」では、「世界の北海道」を目指し、北海道の強みである「食」と「観光」を戦略的産業として位置付け、それを支える「生産空間」の維持・発展や国土強靱化に取り組むこととしています。当部としてもその実現に向けて鋭意努力してきたところです。現在、計画策定から5年を経て計画の中間点検を行っており、その際、管内の多くの皆様からも御意見を頂戴したところです。釧路・根室地域のブランド力の高い酪農業や水産業、希有で豊かな自然といった地域が持つポテンシャルがこれまで以上に再認識され、それらを最大限に活かした地域社会の形成に向けて、社会資本整備等を通じた地域支援を着実に推進して参ります。

また、近年は毎年のように全国各地で豪雨災害が発生し、甚大な被害が発生しております。当部管内においても、昨年3月に発達した低気圧と前線により大雪と続けての大雨による融雪によって浸水災害や交通障害が発生しました。さらに、千島海溝周辺で発生が懸念される巨大地震、大津波も脅威となっています。これらのことから、住民の安全・安心の確保や防災意識の向上への取組を引き続き推進する必要があります。国土強靱化に資する整備を着実に進めるとともに、災害発生時には当部が有する能力を迅速かつフルに発揮できるよう地元自治体や関係機関等との連携強化に努め、防災・減災対策に全力で取り組んで参ります。

本年の事業として、河川事業では、釧路川において河道整備を進め治水安全度の向上を図るとともに、気候変動による水災害リスクの増大に備えるため、関係機関と連携し流域全体で行う治水｢流域治水｣を推進します。釧路湿原自然再生事業については、湿原の再生や旧川復元に向けて継続して事業に取り組みます。なお、釧路川の治水事業は今年100年を迎えることを記念して、自治体や関係機関等と協力して各種行事や取組を行う予定です。

道路事業では、広域交通ネットワークの構築に向けて、北海道横断自動車道等の高規格幹線道路の整備を引き続き推進するとともに、44号尾幌糸魚沢道路の早期整備に向けて調査設計を鋭意進めます。また、安全で円滑な冬期道路交通の確保を図るため、道路防災事業として根室防雪を実施するほか、安全安心な道路交通の確保に向けて標津防災、釧路末広町電線共同溝等を推進します。

港湾事業では、国際バルク戦略港湾釧路港において飼料用穀物を積載した海外からのパナマックス級船舶の直接入港が増加しています。また、昨年は外港からの波浪や漂砂に対して港内を守る新西防波堤本体工が完成しました。引き続き、釧路港、十勝港、根室港、霧多布港の整備を推進します。

空港事業では、釧路空港において航空機がより安全に離着陸するための整備を推進します。

水産基盤整備事業では、厚岸漁港において昨年8月に水産物の陸揚げから流通に至る総合的な衛生管理体制の構築を図る屋根付き岸壁等が供用を開始したところです。引き続き、厚岸、落石、大津、歯舞、羅臼の各漁港において水産物の安定供給等を図るための整備を推進します。

さらに、酪農が主体の管内農業の更なる持続的発展のため、引き続き根室市及び別海町管内で国営環境保全型かんがい排水事業、弟子屈町管内で国営総合農地防災事業、釧路市管内で国営緊急農地再編整備事業を進め、食料生産基盤の整備を推進します。

以上の取組を推進するにあたり、本年も皆様のより一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。

新型コロナウィルス感染症による社会経済活動や人々の生活への影響が続いております。この困難な状況の早期の終息に向け、生活スタイルや働き方など新たな日常の実践に努めていくことが必要と思います。皆様の御健勝と御多幸を心からお祈り申し上げまして、新年の御挨拶といたします。