年頭所感／北海道開発局 釧路開発建設部 部長 井上 勝伸

釧路・根室地域のブランド力“酪農・水産と豊かな自然”を活かした
地域社会形成に向け地域支援を推進する

国土交通省 北海道開発局
釧路開発建設部
部長 井上 勝伸

　明けましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げますとともに、平素より釧路開発建設部が実施しております開発事業につきまして、深い御理解と御協力を賜っておりますことに厚く御礼申し上げます。

さて、本年で8年目を迎えた第8期「北海道総合開発計画」は、「世界の北海道」を目指し、北海道の強みである「食」と「観光」を戦略的産業として位置付け、それを支える「生産空間」の維持・発展や国土強靱化に取り組むこととしており、令和3年2月に取りまとめた中間点検において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けても、「食」や「観光」の強み・魅力は失われておらず、「新たな日常」を先導する地域を目指すべきとされ、当部としてもその実現に向けて鋭意努力してきたところです。

一方で、新型コロナウイルス感染症の更なる拡大やカーボンニュートラルに関する取組が加速化するなど、これらの社会変容への対応が急となっていることから、現在、新たな計画策定に向け、管内の多くの皆様から御意見を頂戴しながら検討を進めているところです。釧路・根室地域のブランド力の高い酪農業や水産業、世界遺産や国立・国定公園などの雄大で魅力ある自然といった地域が持つポテンシャルがこれまで以上に再認識され、それらの強みを最大限に活かした地域社会の形成に向けて、社会資本整備等を通じた地域づくりを着実に推進して参ります。

また、近年は毎年のように全国各地で気象災害が発生し、甚大な被害が発生しております。当部管内においても、発達した低気圧と前線の通過の度に大雨や大雪による浸水被害や交通障害が発生しています。さらに、千島海溝周辺で発生が懸念される巨大地震、大津波も脅威となっています。これらのことから、住民の安全・安心の確保や防災意識の向上への取組を引き続き推進する必要があります。国土強靱化に資する整備を着実に進めるとともに、災害発生時には当部が有する能力を迅速かつフルに発揮できるよう地元自治体や関係機関等との連携強化に努め、防災・減災対策に全力で取り組んで参ります。

本年の事業として、河川事業では、釧路川において河道整備を進め治水安全度の向上を図るとともに、気候変動による水災害リスクの増大に備えるため、関係機関と連携し、グリーンインフラの効果を最大限に高め、流域全体で水害を軽減させる｢流域治水｣を着実に推進します。釧路湿原自然再生事業については、湿原の再生や旧川復元に向けて継続して事業に取り組みます。

道路事業では、広域道路ネットワークの構築を図るとともに、令和6年度開通に向けて、北海道横断自動車道阿寒ICから釧路西ICの整備及び国道38号釧路新道の整備を引き続き推進します。また、令和3年度に着工した44号尾幌糸魚沢道路は、調査及び用地買収等を進めるとともに、整備を推進します。さらに、安全で円滑な冬期道路交通の確保を図るため、道路防災事業として根室防雪の整備及び上春別防雪の工事着手に向けた調査、設計を推進するほか、安全安心な道路交通の確保に向け釧路末広町電線共同溝等を推進します。

港湾事業では、釧路港において国際バルク桟橋が供用し飼料用穀物を積載した海外からのパナマックス級船舶の直接入港が順調に推移しています。それらの機能維持・強化のため防波堤や泊地等の整備を進めています。引き続き、国際競争力強化等のため釧路港、十勝港、根室港、霧多布港の整備を推進します。

水産基盤整備事業では、令和2年の厚岸漁港に引き続き、令和4年8月に歯舞漁港においても水産物の陸揚げから流通に至る総合的な衛生管理体制の構築を図る屋根付き岸壁等が供用を開始し活用されているところです。引き続き、厚岸、落石、大津、歯舞、羅臼の各漁港において水産物の安定供給等を図るための整備を推進します。

さらに、酪農が主体の管内農業の更なる持続的発展のため、引き続き根室市及び別海町管内で国営環境保全型かんがい排水事業、釧路市管内で国営緊急農地再編整備事業を進め、食料生産基盤の整備を推進します。

以上の取組を推進するにあたり、本年も皆様のより一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症による社会経済活動や人々の生活への影響が続いております。この困難な状況の早期の終息に向け、生活スタイルや働き方など新たな日常の実践に努めていくことが必要と思います。皆様の御健勝と御多幸を心からお祈り申し上げまして、新年の御挨拶といたします。