寄稿/中国地方整備局 広島国道事務所長 荻野 宏之

寄稿/中国地方整備局 広島国道事務所長 荻野 宏之

都市と都市、人と人、未来への夢をつなぐ
東広島・安芸バイパス

国土交通省 中国地方整備局
広島国道事務所長 荻野 宏之

 

1.はじめに

大阪市から北九州市を結ぶ国道2号は、西日本の大動脈として、地域の産業・社会活動や住民の生活に大きな役割を果たしています。現在、東広島市~広島市間の国道2号では、慢性的な交通渋滞が発生しており、日常生活や経済活動の支障となっています。また、瀬野川沿いを走るこの区間は幅員が狭く、カーブや勾配も急なため交通事故や積雪により、一時的に通行止めが発生しています。しかしながらこうした事故や災害によって通行止めになっても、これに替わる迂回路がないのが現状です。
こうした問題を解決するため、東広島市八本松町から安芸郡海田町に至る延長17.3kmの東広島バイパス及び安芸バイパスの整備を行っています。

2.現在の整備状況

東広島バイパス 海田高架橋の施工状況

東広島バイパスは昭和50年度に事業化し、平成10年度に海田ランプ部(L=0.6km)、平成17年度に中野IC~海田東IC間(L=2.7km)、平成25年度に中野IC~瀬野西IC間(L=4.4km)をそれぞれ供用しています。残る区間について改良工事、橋梁工事を実施しています。

安芸バイパスは平成7年度に事業化し、改良工事、橋梁工事、トンネル工事を実施しています。
東広島バイパス・安芸バイパスともに令和4年度の供用を目標に、現在事業を進めております。

安芸バイパス 熊野川高架橋の施工状況

3.期待される効果

東広島バイパス及び安芸バイパスの全線供用により、以下の整備効果が期待されます。
(1)国道2号の交通がバイパスへ転換することで交通分散が図られ、主要渋滞箇所の交通渋滞が解消されるとともに、渋滞に起因する追突事故や急カーブでの衝突事故等の減少が期待されます。
(2)東広島市には自動車部品関連工場が集積しており、これらの工場で生産された部品の多くは広島市内の自動車組立工場へ輸送されています。バイパス整備により、輸送時間の確実性が向上し物流活動の更なる効率化が期待されます。
(3)平成30年7月西日本豪雨の際に、土砂災害等により山陽自動車道が約9日間通行止めとなる等、周辺道路において多くの通行止めが発生し、山陽自動車道と並行する国道2号では、東広島・安芸バイパス未整備区間を先頭に慢性的な渋滞が発生しました。バイパス整備により、ダブルネットワークによるリダンダンシーが構築され、安定的かつ円滑な地域間移動が確保されます。
(4)東広島バイパス及び安芸バイパスが整備されることで東広島・呉自動車道や広島呉道路とともに広島市、東広島市、呉市との連携を強化し、開発計画の促進に貢献します。さらに、山陽自動車道との連携により、広島空港とのアクセスが強化されます。

安芸バイパス 清谷高架橋の施工状況

4.おわりに

平成30年7月西日本豪雨では、経験したことない記録的な大雨となり、西日本を中心に各地で甚大な被害をもたらしました。広島県においても、大雨特別警報が発表され、多くの観測地点で観測史上1位を更新し、洪水や土砂災害など多くの被害が発生しました。特に、国道31号、JR呉線、広島呉道路が土砂災害により寸断され、都市間ネットワークが遮断されるなど大きな影響をもたらしました。激甚化・頻発化する災害に対して強い道路をつくること、リダンダンシー確保が重要です。東広島・安芸バイパスは都市間をより強く結びつけ、災害に強い安心・安全な暮らしの確保と地域間の交流活性化に欠かすことのできない道路です。広島国道事務所として、一日も早い整備に向けて鋭意取り組んでまいります。

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